嫉妬心は自然な感情だが、強すぎると問題に……
仲がよくても、相手に嫉妬心を感じることはあります
大部分の方は嫉妬心が生じても、何とか折り合いをつけられていますが、時には、嫉妬心がエスカレートしてしまう場合があります。相手への疑念から、しつこく行動を詮索してしまったり、帰宅が遅れる度に、身の潔白をいちいち説明しなくてはならなくなったら、家に帰ること自体が憂鬱になってしまいそうです。今回は、病的な嫉妬心について解説したいと思います。
病的な嫉妬心の具体例
もしも、二人で一緒に歩いていて、前から、格好良い人が通り過ぎて行った時、思わず、目で追ってしまったら、むっとするかもしれませんが、一応、正常範囲ですので、大目に見たいものです。しかし、嫉妬が度を過ぎてしまい、以下のようなことが見られるようになったら要注意です。- 相手が他の人と親しげにしているだけで怒り出してしまう
- 事実に反して、相手が不倫をしているのではないかと疑ったり、確信してしまう
- 相手の行動をしつこくチェックする
- 後をつけたりといった、スパイ行為をする
- 相手が自分の目の届く範囲にいないと不安になる
- 夜、一人で外出するのはダメといったような、拘束的なルールを作ってしまう
- 自分が子供の本当の親であるか疑ってしまう
- 付き合う前の性体験をしつこく聞き出そうとする
嫉妬心が強すぎる場合は病気の可能性も
嫉妬深い人は、もともと、性格的に猜疑心が強かったり、自分にあまり自信を持てないといったことがあるでしょうが、嫉妬心がエスカレートしてしまった時は、本人が心の病気に近い状態になっていることが少なくありません。日常のストレスはそのきっかけになりやすいですが、子供の頃のトラウマを引きずってしまっていることもしばしばあります。例えば、子供の頃、不倫の為に不仲な両親のもとで辛い思いをしていた場合、大人になって、相手が親とは異なり、パートナーである自分を裏切ったりしないことを無意識のうちにいつも確認しておきたいといったことがあります。そうした場合、事態を良い方向へ向けるためには、精神科等を受診されることも選択肢です。そうした場所で心理療法等を受けることによって、嫉妬心が病的になってしまった背景に、自分がどんな心の問題を抱えているのかを理解し、嫉妬心に対する対処を身につけていけば、日常の葛藤がかなり減じていくはずです。
もし仮に、相手への疑念から、心が追い詰められてしまい、パートナーの後をつけるといったようなスパイ行動を取っていたり、事実に反して、相手が不倫をしているといった妄想が現れていたら、精神医学的な深刻さがレベルアップしていますので、より注意が必要です。そうした妄想は心の病気の代表的な症状の一つで、具体的な疾患としては、統合失調症や妄想性障害などでよく現われやすいです。また、脳血管障害などによって、脳内の組織が何らかのダメージを受けているなど、純粋な精神疾患とは少し問題が違っている可能性もあります。
妄想は、脳の機能のうち、認知や思考内容における問題症状といえます。妄想内容が嫉妬に限られている場合は、嫉妬妄想と呼ばれることもあります。また、妄想内容が嫉妬以外に例えば、他人が自分に対して何か悪いことを企んでいるといった被害妄想へ拡大しているような場合は、妄想の深刻さがかなりレベルアップしていますので、すぐ精神科で相談すべきです。妄想が生じる背景には、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れている……といった原因がありますので、それに対する薬物療法によって、崩れたバランスを修正することが妄想の治療に、実際かなり有効です。
嫉妬は辛く、苦しい気持ちですが、外部の人からはなかなか、うかがいしれないものです。自分たちだけの問題にしてしまっていることも少なくないと思います。嫉妬心がエスカレートしている時には、心の病気の可能性もあることを、どうか覚えておいてください。
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